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東大客員教授 澤田先生のリスマネ道場

RISK MANEGAMENT TRAINING ROOM
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2019.02.25 UP
CASE01

食後の胸焼けにニトロペン舌下錠を長期使用していた患者

  • 処方チェック
  • 一般調剤
  • 服薬指導
  • その他

Incident何が起こったか?

来局のたびにニトロペン舌下錠<ニトログリセリン> 20 回分の追加処方を訴える患者に使用状況などを尋ねたところ、“食後の胸やけ”にも使用していたことが判明した。長期にわたってその誤使用を発見できなかった。

Prescription処方内容は?

<処方1> 50 歳代の女性。病院の循環器科。オーダ/印字出力。

バイアスピリン錠100mg 1錠 1日1回 朝食後 60日分
ラシックス錠40mg 1錠 1日1回 朝食後 60日分
ディオバン錠80mg 1錠 1日1回 朝食後 60日分
メインテート錠5mg 1錠 1日1回 朝食後 60日分
ノルバスク錠5mg 1錠 1日1回 朝食後 60日分
パナルジン錠100mg 2錠 1日2回 朝夕食後 60日分
リピトール錠10mg 1錠 1日1回 夕食後 60日分
タケプロンOD錠15 1錠 1日1回 夕食後 60日分
酸化マグネシウム 2g 1日3回 毎食後 60日分
アモバン錠7.5 1錠 1日1回 就寝前 60日分
ニトロペン舌下錠0.3mg 1錠 頓用・胸痛時   20回分

図.「ニトロペン舌下錠0.3mg」の包装(左)と錠剤(右)。

<効能効果>
●ニトロペン舌下錠0.3mg(ニトログリセリン)
狭心症、心筋梗塞、心臓喘息、アカラジアの一時的緩解

Historyどのような経緯で起こったか?

患者は以前からニトロペン舌下錠を継続して使用していた。調剤者が薬歴を確認すると、6 カ月前より患者からニトロペン舌下錠が欲しいと 4 回連続で申し出があり、疑義照会にて 20 回分ずつ追加処方されていた。今回も追加の申し出があったため、処方医に疑義照会し、口頭指示で 20 回分が追加となった。

投薬者はニトロペン舌下錠の使用頻度が高いと感じ、残薬や使用状況などを確認した。すると患者は、週に 2~3 回使うことがあり、一番使う時は食後で、特に“食べ過ぎた後(食後の胸焼けのため)”だと述べた(若い息子家族と同居しているので、食事に脂っこいものが出ることが多いが、文句が言えないとのことであった)。

Worst scenario最悪の事態

ニトロペン舌下錠の副作用として脳貧血、過度の血圧低下、失神などがあらわれる。

Assessment問題点の解析は? 何が問題か?

薬剤師は、来局のたびに処方追加の疑義照会を行っていたが、単純な処方オーダリングもれとの認識しか持たずに機械的に処理し、患者の体調や薬の使用状況などの確認を怠っていたため、誤使用を発見できなかった。

患者は、狭心症発作(胸の奥が痛い、胸がしめつけられる・押さえつけられる、胸が焼けつくような感じなど)の症状である「胸が焼けつくような感じ」が食後の胸焼けと似ていたことから、後者の症状でも本剤は有効であろうと判断して勝手に使用していた。

Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?

頓用の薬剤が処方されている患者に対して、症状や使用状況(頻度、服用間隔など)の定期的な確認を徹底することとした。更に、頓用薬に限らず、「患者の疾患はどのようなものか」「なぜ薬が処方されたのか」「服用する薬がどのような作用で効果を発揮するのか」などをわかりやすく説明し、患者の病識や薬識を高めて誤用や服薬意欲の低下を防いでいくことをスタッフ間で申し合わせた。

Communication服薬指導は?

『この薬は、心臓の血管を拡張させ、心臓に血液や酸素を供給するとともに、全身の静脈血管の抵抗を減らして心臓の負担を軽減させる作用があります。通常、狭心症などの発作をやわらげるために用いられます。狭心症発作の症状には、胸の奥が痛い、胸がしめつけられる・押さえつけられる、胸が焼けつくような感じなどがあります。しかし、食後の胸焼けとは全く性質の違うものですから、その様な場合には決して服用しないようにしてください。』

Special instruction特記事項は?

ニトログリセリンは、1847 年にイタリアの Sobrero により合成され、1879 年にイギリスの Murrell が狭心症治療薬としての有用性を見出し、その後にアメリカの Davis と Hering によって舌下錠として製剤化された。本邦では 1953 年に日本化薬がニトログリセリン舌下錠<ニトログリセリン舌下錠0.3mg「NK」>として発売した。ニトログリセリンは強い揮散性を有するが、それが少なく室温でも安定な製剤として、ニトロペン舌下錠が開発された。現在、狭心症の発作時に欠かすことのできない薬剤として汎用されている。

ニトロペン舌下錠0.3mgの医薬品インタビューフォームより

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