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メディセレ薬局 現場からの声

医薬品の出荷調整と適正供給

 皆さん、こんにちは。医薬品の安定供給が難しい状況が何年も続いています。ここ最近では、テレビのワイドショーなどでも「風邪薬」や「咳止め」の不足が取り上げられており、一般の方々にもその深刻さを広く知っていただけるようになりました。主に「風邪薬」や「咳止め」の話題が取り上げられていますが、安定供給が崩れている医薬品はそれだけではありません。高血圧、心臓病、糖尿病、高脂血症、前立腺肥大、抗菌剤、痛み止め、目薬、などなど……、挙げればきりがありません。

 「なぜこのような状況になってしまったのか」ということに関しては、報道などでもいろいろと議論がされていますが、実際には様々な要因が複雑に絡み合っているため、一概に「〇〇が原因だ」ということは難しいと思います。医薬品はもちろんですが、あらゆる工業製品は販売している会社が一から作って製品にして売っている訳ではなく、非常に多くの会社や組織、そして国が関わっています。その中の一つでも何か問題が起こると、最終的な製品として市場に送り出すことが難しくなります。例えるなら、タイヤを構成するゴムの供給が不安定になると、車体を問題なく作れたとしても自動車を完成させることができず、売ることができないという感じです。自動車はパーツの部分が分かりやすいので想像が容易ですが、医薬品も様々な原料や工程がある複雑な工業製品なのです。

 薬剤師法の第一条には、「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」とあります。医薬品の供給、つまり、患者さんの手にお薬を渡すという最後の段階を薬局の薬剤師は司っているのです。医薬品が十分にあるときは正しいお薬を正しい量で渡せばよいのですが、現在のように医薬品の安定供給が崩れている状況では、「適正な医薬品の供給」について色々と考えなければならない場面が出てきます。
例えば、供給が安定していない医薬品の処方箋を持参した患者さんAに必要とする数を渡せない時があります。そのような場合、その患者さんの病気や状態、希望を聞き取り、入荷までしばらく待っていただくのか、処方医も交えて相談して代替薬に変更するのかを判断していくことになります。さらに、今後、別の患者さんBが同じ医薬品の処方箋を持ってくることが予測できる場合はどうでしょうか。在庫が限られたその医薬品を先に来た患者さんAに優先して渡すことが「適切な医薬品の供給」でしょうか。もちろん、早く来た患者さんAが優先、という場合もあると思います。しかし、後から来ると予測される患者さんBの方がより病状が深刻で、医薬品を飲めないことが健康に与える影響が大きいと考えられる場合はどうでしょうか。すべての患者さんに対して、必要とする医薬品を必要な数をお渡しすることが理想であり当然なのは当たり前ですが、今はその当たり前が叶わない状態にあり、各薬局では、薬剤師はもちろん共に薬局を支えるすべてのスタッフが「適切な医薬品の供給」とは何かを考え、日々判断に迫られています。

幸いにして、メディセレ薬局の患者さんは、どの方々も丁寧にお話をさせていただくことで現状を理解して下さり、薬剤師が熟考した提案を考慮した上で、一緒にこの難局を乗り越えようと協力をしてくださっています。毎日のように「よかった」と「ありがとうございます」が繰り返されています。

私たちは何か問題があった時に、単純でわかりやすい原因を求めてしまいがちですが、果たしてその目に見えやすい原因が全てなのかということは常に熟考する必要があるのではないでしょうか。医薬品の安定供給が崩れ、各メーカーが、出荷調整を行った原因として、幾つかの不適切な製造工程があったことが指摘されています。定められた製造工程から逸脱することはあってはならないことですが、そのあってはならないことを選択せざるを得なかった背景まで考えていかなければ、根本的な解決には至りません。
一日も早く、医薬品の安定供給が回復し、患者さんに薬を渡すことができないのは、「薬局が発注をミスしたとき」だけになる日が来ることを願っています。

メディセレ薬局 管理薬剤師

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