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東大客員教授 澤田先生のリスマネ道場

RISK MANEGAMENT
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2019.09.25 UP
CASE40

《副作用で服用中止が指示されたセイブル錠が継続処方》

  • 処方チェック
  • 一般調剤
  • 服薬指導
  • その他

Incident何が起こったか?

患者が放屁、下痢がひどいことを医師に相談した結果、セイブル錠による副作用と判断され、服薬中止が指示されていたが、今回、セイブル錠が継続処方されていた。

Prescription処方内容は?

<処方1> 80 歳代の男性。病院の内科。オーダ/印字出力。疑義照会前。

メトグルコ錠 250 mg 3 錠 1 日 3 回 毎食後 56 日分
ベザトール SR 錠 200 mg 1 錠 1 日 1 回 朝食後 56 日分
オイグルコン錠 2.5 mg 3 錠 1 日 2 回 朝夕食後 56 日分
    服用配分 2-1(錠)  
セイブル錠 50 mg 1 錠 1 日 1 回 夕食直前 56 日分
*前回と同じ内容の処方であった

図.「セイブル錠 50 mg」の PTP 包装(左、中)と錠剤(右)。

<効能効果>
●セイブル錠 25 mg・50 mg・75 mg、OD 錠 25 mg・50 mg・75 mg(ミグリトール)
糖尿病の食後過血糖の改善(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)

Historyどのような経緯で起こったか?

患者は HbA1c が 7.9 と高値で、食事療法や薬物療法を実施しても血糖値がうまくコントロールできない状態が続いており、前回からセイブル錠が処方追加となった。
セイブル錠の服用を開始してから 8 日目より、放屁、下痢がひどくなり、患者自身が電話にて医師に連絡したところ、服用を中止するよう指示され、実際に服用を止めていた。
今回、服薬指導の際、前回から追加となったセイブル錠の服用で体調変化がないか確認したところ、上記理由で服用を中断していたことが明らかとなった。
医師に疑義照会した結果、セイブル錠の処方は中止となり、処方中止の経緯を患者に説明した。

Worst scenario最悪の事態

再度、放屁と下痢が酷くなり、腸内ガスなどの増加から腸閉塞となる。

Assessment問題点の解析は? 何が問題か?

医師は前回診察時以降、患者からの電話連絡に対してセイブル錠の服薬中止を指示していたことを失念していた。その要因として以下が考えられる。
・カルテにセイブル錠を中止したという情報を記載しなかった(電話を受けた場所が診察室であったか、カルテをチェックできない診察室以外であったかは不明である)。
・今回の診察時にセイブル錠の治療効果や副作用発現のモニタリングが行われなかった。

Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?

今回のように、前回と処方が同じであっても、実際は処方変更(薬剤の中止、用法用量の変更)となっている可能性があることを認識し、投薬時には患者に対して体調変化、副作用発現、治療の状況などの十分なモニタリングを行うことが必須である。

Watchword標語は?

・前回と同じその処方、Do であっても正しくは変更かもしれない!
・患者への体調変化、副作用発現、治療の状況などの十分なモニタリング!

Special instruction特記事項は?

セイブル錠の重大な副作用として「腸閉塞」(頻度不明)がある。腹部膨満、鼓腸、放屁増加等があらわれ、腸内ガス等の増加により、腸閉塞があらわれることがあるので、観察を十分に行い、持続する腹痛、嘔吐等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行う必要がある。
また、セイブル錠によるその他の副作用として、「下痢」(18.3%)、「腹部膨満感」(14.9%)、「鼓張」(19.1%)が報告されている(括弧内は発現率)。

(セイブル錠の医薬品添付文書、2016年10月改訂(第12版)、三和化学研究所)
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