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東大客員教授 澤田先生のリスマネ道場

RISK MANEGAMENT
TRAINING ROOM
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2019.02.25 UP
CASE23

リスパダール内用液をリスパダールOSと手書きしたために起きた誤処方

  • 処方チェック
  • 一般調剤
  • 服薬指導
  • その他

Incident何が起こったか?

医師は前回のカルテに記載された「リスパダールOS1mL」を見間違い、0.5 mL で処方してしまった。更に、薬剤師も薬歴の過去処方との違いに気づかず、0.5 mL を調剤・鑑査し、交付してしまった。

Prescription処方内容は?

<処方1> 50 歳代の男性。精神科クリニック。全て手書き。

リボトリール錠 0.5 mg 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後  
アキネトン錠 1 mg 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後  
重質酸化マグネシウム 1 g 1 日 2 回 朝夕食後  
ワイパックス錠 1.0 mg 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後  
ジプレキサ錠 10 mg 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後  
ディオバン錠 80 mg 0.5 錠 1 日 1 回 朝食後  
ルーラン錠 8 mg 3 錠 1 日 3 回 毎食後 各 14 日分
リスパダール 0.5 mL 頓服   14 回分
*リスパダールの頓服使用は不安・不穏・イライラ時への対応(適応外)として処方されている。

図.「リスパダール内用液 1 mg/mL」の分包品の包装。左から 0.5 mL、1 mL、2 mL、3 mL。

(ヤンセンファーマ株式会社のウェブサイトより)

<効能効果>
●リスパダール内用液 1 mg/mL(リスペリドン)
 潰統合失調症、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

Historyどのような経緯で起こったか?

患者の自宅を訪問し、服薬状況を確認した看護師から、「頓服薬が効かなかったようだ。薬を確認すると、頓服薬の量がいつもより少なくなっていることに気が付いた。」と薬剤師に連絡があった。
薬剤師がこれまでの薬歴を確認したところ、頓服薬(リスパダール)は不定期で処方されており、今回の処方箋にはリスパダール 0.5 mL と記載されていたが、これまでは 1 mL で処方されていた。
薬剤師が医師に疑義照会したところ、前回のカルテにはリスパダール OS 1 mL と記載されていたが、今回は間違って 0.5 mL で処方していたことが判明した(自分が記載した字を正しく判読できなかった)。

図.カルテに記載されたリスパダールOS1ml。

訪問した看護師によると、「患者は、0.5 mL 分包品を 1 回だけ使用し、効かなかったため、その後は使用していなかったようだ。」とのことであった。処方は 1 mL に変更され、薬剤師は間違いを説明してお詫びして、1 mL 分包品を交付した。

Worst scenario最悪の事態

リスパダールの治療効果が得られず、不安・不穏・イライラ状態が持続する。

Assessment問題点の解析は? 何が問題か?

医師は、「O」(オー)を「0」(零)、「S」(エス)を「5」(五)と読み取ったと考えられる。「OS1mL」と詰めて記載されており、当該クリニックでは 0.5 mL 分包品も採用されていたことから、医師は 0.5 mL と思い込み、処方してしまった。
当該精神科クリニックでは、『リスパダール内用液 1mg/mL ___ mL』というゴム印を作っていたが、それを使わずに手書きされることが多かった。また、リスパダール内用液の処方が増えており、内用液を OS(Oral Solution)と略称で記載されることが多くなっていた。
薬剤師は、以前は 1 mL 分包品が使用されていたという薬歴があったにも関わらず、0.5 mL への変更に気づいていなかった(薬歴の記載を見逃したと思われる)。

Plan問題点回避の計画は? 確認ポイントは?

リスパダール内用液には、0.5 mL、1 mL、2 mL、3 mL の 4 種類の分包品があることを十分認識し、調剤・鑑査する。
『リスパダール内用液 1mg/mL __ mL』のゴム印を使用してもらうなどの方法により、医師に手書き処方の記載方法を統一してもらう。

Watchword標語は?

・手書きの処方は記載間違いが起こる可能性が高い!
・手書きの処方を見たら一層の薬歴チェック!
・複数の規格単位、複数の包装がある製剤には注意!

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