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紫外線は敵です―調剤薬局における光線過敏症への対応

 「紫外線は敵です」──このフレーズは、薬剤師として日々の業務に携わる中で、ますます重要性を増しています。特に、調剤薬局での薬剤交付や患者さんへの指導を行う際、紫外線による健康リスクに関する知識は欠かせません。紫外線が引き起こす皮膚や眼の障害はよく知られていますが、実は服用中の薬剤が紫外線に反応し、光線過敏症(フォトトキシシティ)を引き起こすことがあります。調剤薬局の薬剤師として、こうしたリスクを避けるためには、患者さんへの適切な情報提供が不可欠です。

紫外線の影響と光線過敏症
 紫外線(UV)はA波(UVA)とB波(UVB)に分かれます。UVBは主に皮膚表面で影響を与え、日焼けや皮膚がんを引き起こす原因となります。UVAは深層まで浸透し、光老化(しわやたるみ)や皮膚がんを促進することがわかっています。紫外線が問題となるのは、服用中の薬剤によって光線過敏症が引き起こされる場合があるためです。
例えば、以下の薬剤は紫外線に対する感受性を高めることがあります。

ニューキノロン系抗菌薬(例:レボフロキサシン、オフロキサシン)
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)(例:ケトプロフェン、インドメタシン)
サイアザイド系利尿薬(例:ヒドロクロロチアジド、インダパミド)
スルホニルウレア系薬剤(例:グリベンクラミド、グリクラジド)
一部の抗真菌薬(例:イトラコナゾール)
抗精神病薬(例:クロルプロマジン、ハロペリドール)

 これらの薬剤を服用している患者さんが、紫外線に過剰に曝露されると、皮膚に炎症や発疹、さらには水疱や色素沈着が現れることがあります。特に夏場や屋外活動が多い時期は、紫外線の影響を受けやすく、患者さんにとっては予防が重要です。

調剤薬局でできる具体的な対応
 調剤薬局では、薬剤師として患者さんに対して薬剤交付時に紫外線への注意喚起を行うことが大切です。以下のようなポイントを意識して対応すると良いでしょう。

1. 薬剤説明時に紫外線対策を伝える
 薬剤交付時には、紫外線のリスクがある薬剤を服用している患者さんに対し、「このお薬は紫外線に敏感になる可能性があります」と伝え、具体的な対策をアドバイスします。例えば、レボフロキサシン(Levofloxacin)やケトプロフェン外用薬(Ketoprofen)などの使用患者には、特に日中の外出時には日焼け止めや長袖、帽子などでの防御を勧めることが重要です。

2. 日焼け止めの使用方法について指導
 薬剤師は、日焼け止めの選び方や使用方法について、患者さんに適切なアドバイスを提供することができます。SPF(Sun Protection Factor)やPA(Protection Grade of UVA)の意味、適切な塗布量(1回あたり2mg/cm²)、塗り直しのタイミング(2~3時間ごと)についても説明します。また、患者さんの肌質や使用薬剤に合わせて、肌に優しい成分を含んだ日焼け止めを提案することも有効です。

3. 紫外線予防用品の提案
 調剤薬局では、日焼け止め以外にも紫外線対策商品を取り扱うことがあります。UVカットの帽子やサングラス、長袖シャツなど、外出時に使えるグッズを患者さんに紹介することで、紫外線対策を徹底的にサポートできます。

4. 患者さんの疑問に答える
 患者さんが紫外線に対してどのような不安を抱えているかを聞き、適切な情報を提供します。例えば、「この薬を飲んでから日焼けをしてしまったが、問題ないか?」という相談には、光線過敏症の症状や予防策を詳しく説明し、必要に応じて皮膚科の受診を勧めます。

薬剤師としての役割
 調剤薬局の薬剤師は、薬剤の正しい使用方法や副作用に関する情報提供を行うだけでなく、患者さんが抱える健康リスクに対しても積極的に対応する役割があります。紫外線対策に関する情報提供は、患者さんの健康維持に貢献する大切な業務です。紫外線のリスクを正しく理解し、薬剤との相互作用に注意しながら、患者さんが安心して生活できるようサポートしていきましょう。

メディセレ薬局 管理薬剤師

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