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メディセレ薬局 現場からの声

相次ぐ医薬品の出荷調整について

皆さん、こんにちは!新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう中、体調はいかがでしょうか?
今回はあまり楽しい話題ではないかもしれませんが、相次ぐ出荷調整についてお話したいと思います。
出荷調整とは、何かしらの理由によって、現場に供給が追い付かないために一時的に現場への出荷数を調整することです。
この出荷調整、以前からありましたが、この1年あたりで急激に増えており現場は混乱しているのです。
急激に増えた発端が、昨年12月にありました某メーカーによる経口抗真菌薬イトラコナゾール製剤に、ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるリルマザホン塩酸塩水和物が通常臨床用量を大幅に超える成分量の混入が判明し、死亡例まで出た事例だったかと言われています。
混入の原因は、原薬のつぎ足しという製造販売承認書とは異なる方法により、原薬の取り違えが生じていたことだったようです。
さらにその後、別の某メーカーでも承認とは異なる方法で製造された製品が相次いで自主回収に至った事例もありました。
どちらのメーカーも県の立ち入り検査の結果、一時的に業務停止命令が下りました。
そこから主要メーカーが一時的でも出荷停止を受けた事による影響が大きく、他メーカーの需要と供給が追い付かない現象が起こり現在に至ります。

最近の事例を見てみましょう。
エルデカルシトールという骨粗鬆症治療薬があります。

こちらは先発品(中外製薬)と後発品(沢井製薬、日医工)の3社のみから販売されているのですが、沢井製薬が昨今の問題を考慮して製剤製造所においてGMPに基づく構造設備の保守点検を実施することとなり、そのため、当該製品の製造を一時停止しなければならない状況となり、かつ、想定をはるかに上回る急激な需要増加に生産が追いつかず、出荷調整になりました。
それが影響し、残りのメーカーも他社製品分を代替する十分な量は供給できないことから出荷調整になりました。
さらに、類似薬のアルファカルシドール製剤やロカルトロール製剤もエルデカルシトールを有効成分とする他社製品の出荷調整の影響から、出荷調整薬として追加されてしまいました。
店舗の在庫状況にもよりますが、必要に合わせて患者さんへのお渡しが止まっている状況です。
出荷調整解除は秋ごろの予定です。

もう1つの事例としては、慢性心不全等に用いる「ビソプロロール製剤」のうち「0.625㎎」が全メーカーから供給が不足しています。
現状2.5㎎製剤が安定供給出来ているため、用量に応じて0.25錠(0.625㎎)あるいは0.5錠(1.25㎎)として同用量を継続することができていますが、骨粗鬆症とは異なり心不全では投与中止することはリスクが高いため避けなければいけません。
できるだけ長期処方を避けること、類似薬のカルベジロール製剤等への切り替え(患者さんの状態によって可否あり)も検討しなければいけないでしょう。

今回の出荷調整の件、メーカーの事情があったとは思いますが、困るのは患者さんです。
一部メーカーの業務停止だけで済ますのではなく、厚労省、メーカー、病院、薬局などすべての機関が医療報酬や製造販売に関する構造を見直す時期に来ているのかなと思いました。
  
薬学生の皆様は今回の件についていかがお考えでしょうか?是非参考にして下さい!

メディセレ薬局 管理薬剤師 密原 将志

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